池田学 マディソン滞在制作日記


by mag-ikeda

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池田学 / IKEDA Manabu

画家。1973年佐賀県多久市生まれ。1998年東京藝術大学美術学部デザイン科卒業。
2000年同大学院修士課程を修了。 2011年から1年間、文化庁の芸術家海外研修制度でカナダのバンクーバーに滞在。
2013年6 月末より、アメリカ・ウィスコンシン州マディソンにて滞在制作を開始。

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第44便「1/3年」

去年の8月から描き始めた作品もようやく1年を過ぎました。
とはいっても毎週火曜日から金曜日までの週4日、しかも朝9時から夕方5時までと限られた時間なので、実質は365日のうち200日ちょっと?
さらに出産や一時帰国で2ヶ月ほど描いてないのでもっと少ないくらいです。

それでも家で描いてた時と比べるとペースは早く、リズムを保って集中して制作することがいかに効率的かを教えてくれます。
また毎日1時間の公開制作も観客の反応を生で感じる事が出来るので、モチベーションを上げるうえでは大切な時間の一つ。
描き始める前までは予想もしなかったこの会社勤めのような通勤スタイルが僕にはぴったり合っているようです。



この一年間、「災害からの復興」をテーマに、とにかく震災の記憶を自分の中に焼き付けるように累々と瓦礫の山を描いてきました。
が、そのうちその風景の中に救いを見いだすことが出来ず、気持ちまでも鬱々としてきたのです。
なにより自分で直接体験していない震災を描くことは自分にとってはドキュメント半分、ファンタジー半分のようなものですが、実際に経験した人達から見ると現実にあった悲劇を絵でまた再現されて、もうこれ以上こんなもの見たくもないんじゃないか。
自分は一体誰の為にこれを描いているのか。
せっかく描くのなら絵を通して少しでも人々を元気づけたいという思いもあります。

絵だからこそ、見てて面白くなきゃ。
震災以降楽しげな絵を描きたくなかった自分の気持ちも、そうしてまたゆっくりと元に戻りつつあります。
画面の左から始まった景色が右に行くに従って徐々にユーモラスなものに変わっていくのもそうした気持ちの変化の表れです。
一枚の絵の中ではたかだか画面の右と左ですが、そこには1年間の時間が凝縮されているということが、描いた本人でさえも忘れてしまいがちになるから不思議なもんです。
テーマも同様、復興から「災害との共存」という風に少しニュアンスが変わってきました。
作品と同じくテーマ自体も刻々と変わるので現時点ではこうだけど来年にはどうなってるんだか。


プロセスの上では下部が完成したといっても本番はここから先、中部と上部。
山で言うと五合目から先。
振り返ってみると下部はあまり構図や全体感は気にせず、好きなものをつらつらと描いていればいいので楽でした。
姿勢的にも座って描けるしそこまで辛くありません。
しかし中部になってくると格段に緊張感が増してきます。
何しろそこに描くものがそのまま絵のテーマや構図に直接影響してしまうので、岩の一つ、木の枝の一本をとっても長いこと考慮したうえで決断しペンを入れなければなりません。
絵の核心部ともいえる中部、ここからの1年は自問自答と決断の連続で考えただけでもちょっと気が滅入りそうだけど
とにかく手を動かし続けるしか道はありません。



早く終わって欲しいようなこのままずっと続いて欲しいような、痺れるような日々。

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by mag-ikeda | 2014-10-02 21:39