池田学 マディソン滞在制作日記


by mag-ikeda

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池田学 / IKEDA Manabu

画家。1973年佐賀県多久市生まれ。1998年東京藝術大学美術学部デザイン科卒業。
2000年同大学院修士課程を修了。 2011年から1年間、文化庁の芸術家海外研修制度でカナダのバンクーバーに滞在。
2013年6 月末より、アメリカ・ウィスコンシン州マディソンにて滞在制作を開始。

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第54便「タイムラプス撮影」

きっかけは偶然の出会いでした。

もともとここで作品を作るにあたり、記録用に進行状況を定期的に撮影したいという主旨の話は美術館に伝えていたのですが、いくつかのハードルがあって未だ実現には至っていませんでした。
撮影や機材に詳しくない僕には何を揃えてよいのか、またどのような方法で撮影をしていくのか、時間やコストは?等々さまざまな疑問があり、ぼんやりとイメージはできてもどこから手をつけていいか分かりません。
美術館側からは、天井からビデオカメラを取り付けて撮影する案がでたものの、その後の調べでいくつかの諸問題があって、その方法は難しいという事に。
そう言われるとどうしようもなく、かといって具体的な他の方法を模索する事にばかり時間を割くわけにもいきません。
機会があるごとに館長さんにどうにかならないか尋ねてみるもののそこはアメリカ、自分主導で強引にでも動かない限り何もやってくれません。

結局考えあぐねながらも制作はそのまま進み、気がつけば撮影せぬまま1年半が経過しようとしていたのでした。


その日はいつものように午後からのスタジオ一般公開で、数人の見学者が入れ替わり訪れていました。
その中の一人の男性が僕に話しかけてきました。
「制作状況を記録に撮らないのか?」

「以前から撮りたいとずっと思ってるんだけどいろいろと難しくて。美術館にも相談してるんだけど設営が大変らしくて無理だと言われたよ」

「そんなことないよ!タイムラプス撮影でやれば簡単にできるよ!絶対やるべきだ。」


彼の名はロブといい、自分もアーティストであることを僕に伝えると、自分の作品が出来上がるまでを撮影したビデオを携帯で見せてくれ、タイムラプス撮影がいかに簡単、かつプロセスを見せるのに効果的かをクドいくらいに熱弁します。
そして頼んでもいないのにてきぱきとスタジオ内の設備を点検し、美術館スタッフを読んで話し、なんとその日のうちに館長さんに直談判する手配まで取り付けてしまったのです!
なんたる行動力、いやそれよりもなぜ会ったばかりの赤の他人にここまで……
これまで遅々として進まなかったことが一人の登場によってここまで進展するかという驚き、またあまりにも出来過ぎた展開への一抹の不安….
ロブの言う、「こんなに時間のかかる作品のプロセスは絶対に面白いからみんなに見せるべきだよ」という言葉をそのまま鵜呑みにしていいんだろうかという疑念にかられながらもあれよあれよと計画は進み、
数々の難問をクリアし、撮影にかかる機材やコストを計算し、それを美術館側に書類として提出するところまでをこなし、数週間後には館長さんからの了解を取り付けたのでした。



ちなみにタイムラプス撮影とは、カメラをある場所に設置しっぱなしにして、数十秒に一回シャッターを切り、それらの写真を数百、数千枚とつなげてまるで動いているかのように見せる撮影方法の事で、夜空の星の動きをテレビなどで見た方も多いと思います。
僕の作品は時間が年単位でかかるので、この方法で撮影し、展覧会などで鑑賞者にそのプロセスを見せるのはどうかという提案がかねてから持ち上がっていたのでした。



設営当日、ロブの強力な助っ人としてマディソンのカメラカンパニーで働く男性クライトンを紹介してくれました。
ロブは普段カリフォルニアを拠点に制作しているので、目下のところこのクライトンが今後撮影から備品の準備に映像の編集まで一気に引き受け、ロブを司令塔に最後まで関わっていきます。
僕の心配していた、何か金銭的な思惑のようなものも一切ないようで、設備はクライトンの会社のものを使ったり、必要経費は寄付金を募るなどしてやるとの事。
とにかくこの作品のプロセスを映像におさめる事が自分達にとってワクワクする経験だと。
僕にはちょっと想像し難いその情熱の源ですが、これもいいと思ったものには労力を惜しまないアメリカ人独特の考え方のような気も、しないでもありません。
躊躇して断ったところでまた振り出しに戻るだけ、何も動きません。
これもきっと縁。チャンスに乗っかってみる事に決めました。



そうして作品制作の初の試みのひとつ、タイムラプス撮影はようやく動き出しました!

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by mag-ikeda | 2015-05-15 18:39 | Comments(0)