池田学 マディソン滞在制作日記


by mag-ikeda

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池田学 / IKEDA Manabu

画家。1973年佐賀県多久市生まれ。1998年東京藝術大学美術学部デザイン科卒業。
2000年同大学院修士課程を修了。 2011年から1年間、文化庁の芸術家海外研修制度でカナダのバンクーバーに滞在。
2013年6 月末より、アメリカ・ウィスコンシン州マディソンにて滞在制作を開始。

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第11便「始動」

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引っ越しの次の日からさっそく美術館に通い始めました。


ついに画材も届き、スタジオもパネルも全て準備OK。
随分足踏みさせられましたが、これでようやく今回のプロジェクトが動き出します。
今回の作品サイズは横4mの縦3m。過去最大のサイズです。
作品テーマは災害と生命。
もちろんその根底には3月11日の大震災がありますが、日本に限定せずに世界中で起こりうる様々な災害と、そこから立ち上がる生命の強さのようなものを描きたいと思っています。
今回は決まったテーマがあり、なんとなく波と樹を描きたいという思いはあるものの、それをどういった絵に仕立てるのか。3年かけて描きながら考えていかなくてはなりません。


パネルは1枚が横1mの縦3m。
それが4枚つながって上記のサイズになります。
日本の工房で作ってもらい、船旅を終え無事に届いたそれは1枚で30キロ近くあります。
運ぶのにも美術館のスタッフ二人掛かりです。
いつもは制作中に絵を離れて見るために僕が一人で持ち上げて壁に立てかけるのですが今回はさすがにそうはいきません。
何か対策を考えないと。


スタジオ(日本ではアトリエと呼びますがこちらではスタジオといいます。)は地下にある広い多目的スペース。
いつもは週末ここでアートスクールやイベントなどをやっているのですがこれからの3年間は僕だけのものになります。
天井も高く自然光が入る天窓もあって贅沢な空間。
実際の画面の大きさがどのくらいになるのかを掴むために壁に青テープを貼って見てみることにしました。
う~ん想像以上にでかい!



この地下でこれから制作の毎日が始まるのかと思うとドキドキします。
何しろ自分の部屋以外の場所で制作するのは予備校以来。
毎日朝9時から夕方5時まで絵を描きに出勤というのも生まれて初めてのことなのです。
美術館なのでセキュリティもとても厳しく、毎日5時には美術館を出ないとアラームがなってしまうのでこれまでのように自分の好きなペースでのんべんだらりとはいきません。
家庭と仕事。完全にONとOFFの使い分け。
それが吉と出るか凶と出るかはやってみないと分かりませんが、とにかく不安と期待の入り交じった何とも言えない高揚感。



海外の美術館でみんなに協力してもらいながら未知の領域に挑戦する。
これが幸せというやつでしょう!
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# by mag-ikeda | 2013-09-25 14:20

第10便「引っ越し」

8月6日、ついに、ようやく、引っ越すことができました。
長かったホテル生活。結局1ヶ月半近くいたことになります。


ホテルにはプールやジムもあり、慣れるとそれなりに快適でしたがそれでもやはり自分の家がないという不安は大きく、何とも言えない日々でした。
しかしそれも今日で終わりです。
待ちかねた荷物も届き、僕らのマディソン生活が今ようやく始まりました。

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# by mag-ikeda | 2013-09-24 12:44

第9便「版画工房」

7月も終盤に入りましたが未だホテル住まいが続いています。
物件の決定に沸き立ったのも束の間、当初は1週間以内に引っ越しできるか?とも期待していましたが、待てど暮らせど大家さんからの連絡は無し。
マディソンのホテル生活もまさかの一ヶ月になりました。
限られた衣類を着回しての生活は大変ですが、これもあとちょっとの辛抱。
外食続きだった最初のホテルに比べ、キッチンが付いている分まだましだと思うよりほかありません。
何しろ美術館がホテル代を全額出してくれているので文句など言える立場ではないのです。


さて今回の滞在制作のもう一つの目的として版画を作るというのがあります。
館長さんの奥さんが、大きな版画工房のプロデューサーで、せっかくマディソンにいるなら是非やってみるといいわと勧めて下さったのです。
以前から版画の誘いもいくつかあったのですがなにしろ経験がなく、いつかはやってみたいと思いながらズルズルここまできているのでした。
ここなら大きな工房をただで使わせてもらえる上に、基本からいろいろと教えてもらえるということで、ちょうど画材もなく時間を持て余していたのもあってちょっと見学に行ってみました。


今年移転したばかりの工房は広くて綺麗。
見た事もないプレス機やインクなどがずらりと並びます。
見学だからと軽い気持ちだったのは実は僕だけ。
スタッフ全員勢揃いの中紹介され、さっそく今後どういったステップを踏みながら制作していくかの話し合いです。
思わぬ展開にドギマギしましたが、ここでモジモジしても何の得もないのでここは思い切って意見を述べてみます。
ずらりと並んだイングリッシュスピーカーの前での発言はかなり緊張しましたが、みんな僕のために真剣に耳を傾けているのを見ているうちに、これから新しい事が始まるんだという嬉しさと充実感に満ちた気持ちが湧いてきました。


とにかく習うより慣れろです。
質疑応答はもちろん英語ですが、実際にやってみながらなので大した障害ではありません。


とりあえずのステップ1として、エッチングをやってみる事になりました。
ちょうど日本の動物雑誌の仕事でハトのイラストを描かなければならず、画材がないのでこれを版画で描いてみる事にしました。


しかしこれが思った以上にやきもきする!
とにかく左右も明暗も逆というのに慣れません。
また摺ってみなければ完成が分からないのももどかしさに拍車をかけます。
また、ペン画が自分一人で全てやるのに対し、版画はいろんな行程を職人さんに任せるので、その点もいつもの仕事とは全然違います。


とにかく計画性が必要な事だけはよく分かりました。
だいたいが行き当たりばったりで制作する僕に、版画は果たして向いているのでしょうか?

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# by mag-ikeda | 2013-09-20 17:48

第8便「日本人」

マディソンには日本からもいろいろな人が研究や海外派遣などで訪れています。
ほとんどの方は大学の研究者。分野も遺伝子やウイルス、虫や植物に地質学などなど、皆さんその道のスペシャリストばかり。
企業の方も多くいて、車やロボットなどの研究開発に日夜取り組んでいるようです。


バンクーバーの日本人の数には到底及びませんが、こちらは少数ながらも家族で滞在している人が多く、子供を通じて親同士で関わる事も多いのです。
またこの辺境の地?で暮らしている者同士の連帯感からか、お互いいろいろと助け合っていて、コミュニティがしっかりしているような気がします。
まさに運命共同体といった感じですね。


ほとんどの場合旦那さんは昼間は仕事なので、奥さん達は毎週一回どこかに集まってプレイグループという会を開いています。
そこでは子供達同士が日本語で遊べるだけでなく、大人達の貴重な情報交換の場でもあるのです。


とにかく海外に住んでいると、ちょっとした事でも調べるのがひと苦労。
特に来たばかりの頃は右も左も分からないので先輩方のアドバイスは必須です。
それぞれが同じ辛さ、不安さを味わってきているからでしょう、皆とても親切でいろいろとサポートしてくれます。
海外に住んでみないと分からない、日本人の存在のありがたさ。


また旦那さん達もそれぞれの分野を極めんとしている方達ばかりなので、話していてとても面白い。
刺激的で、毎回なるほど~の連続。
僕のいろんな質問にも、的確に分かり易く答えてくれます。
皆さん研究した成果を論文として発表しているからか元々頭がいいのか、その両方だと思いますがとにかく説明が上手い。
分かり易い例を示しながら手取り足取り、これなら誰でも科学が好きになりそうです。


僕にとってはこんなにたくさんの学者さんに囲まれた事はなかったのでとにかく興味は尽きないのですが、それはむこうも同じみたいです。
ただ僕の場合、説明しろと言われてもなにぶん感覚的な事の方が多く、
何となく描いていたらこうなっただの、面白いと思ったから描いただの、、、、、


なんか非常に申し訳ない気持ちになります。

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# by mag-ikeda | 2013-09-18 22:37

第7便「アパート」

ようやくアパートが決まりました!
館長さんが友人に紹介してもらった不動産屋さんに電話をかけたところ、「たった今一室空きが出たよ。」
まさに運命の出会いです。


館長さんに呼び出され、高鳴る胸を押さえながら内見したそこは、まさに素晴らしい!
少々古い物件ですが、美術館にも割合近く、値段もお手頃、そしてなにより広い庭。これにズキュンと射抜かれました!
あいにくまだ先住人がいて彼らの引っ越しが終わり次第の入居ですが、それでもなんでしょう、このゴールが見えた安堵感。
さすがに焦っていた館長さんも、心底ホッとしたようでした。


ドキドキしながら契約書にサインし、とにもかくにも家が決まった!
これで一気に事が運びます。
その日の午後は早速中古車の下見へ。
偶然にもちょうどいいのがあったので後日購入。
それから携帯も手に入れ、ぐっと便利になりました。
今まで待たされていた分、全てが勢いよく流れ出したような感じです。


そして3週間滞在したダウンタウンのホテルから、郊外のホテルへ引っ越しです。
部屋が決まったとはいっても、いつ越せるかはまだわかりません。
もうこれ以上外食が続くのだけはご免被りたいという僕らの願いを館長さんが聞き入れて下さり、キッチン付きのホテルを用意してくれました。


あいにく全ての家財道具や画材は新居に入るまではお預けですが、車と携帯、そしてキッチンが手に入った事で随分まともな暮らしに近づいてきました。
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# by mag-ikeda | 2013-09-18 22:35