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池田学 マディソン滞在制作日記


by mag-ikeda

池田学 / IKEDA Manabu

画家。1973年佐賀県多久市生まれ。1998年東京藝術大学美術学部デザイン科卒業。
2000年同大学院修士課程を修了。 2011年から1年間、文化庁の芸術家海外研修制度でカナダのバンクーバーに滞在。
2013年6 月末より、アメリカ・ウィスコンシン州マディソンにて滞在制作を開始。

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第48便「コロラドロードトリップ後編」

なんという豪華な邸宅!
なんというコレクションの数!
しかもどれもが超有名なアーティストの作品とあっては、あまり詳しくない僕でも興奮します!

その日の午後、家族全員で訪れたその館は、まさに超豪邸と言うにふさわしい宝の山でした。
山の中に佇む一軒家は土地も広大で、どこまでが庭なのかは簡単にはわかりません。
通された広々としたリビングには数々の有名作家達の作品が大小いとわず並び、それぞれが圧倒されるような存在感を放っています。
いくつあるのか想像すら出来ない部屋の中にはシアターやらプールやら、そしてそれぞれにまたアートが置かれ、そこら辺の美術館よりもずっと見応えがあります。

中でも印象的だったのはプール。
全体が白で統一されたその空間は、天井から射してくる柔らかい日光と水面に浮かぶ銀の球体たちが反射する光によって無数の色のトーンで溢れ、なにか荘厳ですらありました。
これが公共の施設ではなく個人宅だとはどうしても思えません。
これを維持するのに一体どのくらいの費用がかかるんだろう。

そしてなんだろう….この人の多さ。
家の中だというのにいろんな人とすれ違います。おそらく家族は3、4人のはずなんだけどどこから湧いてくるのかわらわらわらわら。
それぞれがフェランさんとすれ違うたび何やら仕事の話をしたり支持を受けたりしていてまるで会社のよう。
こういう意味不明な人間達が多いのも、なにか凡人には想像もつかない金持ちの本当の生活を見ているような気がして、ますますこの人物の存在感に拍車がかかります。

話したいことは山程あれど、漂う大物感と忙しオーラ、それに二人の娘があわや作品に触れはしないかと気が気ではなく、ろくに息もしないままわずか1時間あまりのお宅訪問は終了しました。
おそらく今夜のディナーにむけての打ち合わせの合間を縫って僕らを招待してくれたんでしょう。
フェランさんは本当に僕の作品が好きみたいで、何年か待ってもいいから新作を描いてくれと言ってくれました。
本当にありがたい話です。
第48便「コロラドロードトリップ後編」_b0290617_22221219.jpg

自分の想像を遥かに超えた光景を見たショックからか、しばしホテルでぐったりした後、夕方からは今回の滞在の目玉であるオークションディナーパーティへ。
これは招待された僕一人しか行けません。
緊張した足取りで向かうは旧美術館に作られた特設テント。
まずはディナー開始までの1時間、ここで今回出品されているオークション対象作品を見ながら、欲しい作品にチェックをしていきます。
もちろんオークションとは無縁な僕は鑑賞のみ。
まわりでは200人近いセレブがワイン片手に豪華絢爛なドレスを纏ってウフフ オホホと談笑しながら、優雅に振る舞っております。
この時の肩身の狭さったらもう。
外は雨で逃げ場もなく知り合いもなく、知り合ったところでおそらく身分も価値観も根底から違う人達。
こんなところに一人招待されてウキウキ喜ぶ一般人っているんでしょうか。


ようやく1時間が過ぎ、全員で今回のメイン会場へ移動。
結婚式場のような会場には円卓がズラリと並び、渡されたナンバーのところに座らなければなりません。
ヒマラヤにでもいるかのような息苦しさを覚えながら座ったはいいものの、一体この人達と何を話せばいいのやら。
皆チラッと僕を一瞥しただけでそれぞれ話し込んでいます。
KA・E・RI・TA・I
帰りたい!

会場の中央には大きなステージ。
そこで華々しくオークションディナーの開幕です!
円卓のセレブ達は食事をしながら目当ての作品が登場するとプラカードを掲げてどんどん入札し、瞬く間に値段がつり上がっていきます!
僕の円卓の人は数人のオークショニアとコレクターの方々。
こんなこともあろうかと用意していたiPadで僕の作品写真を見せて自分が何者であるかを伝え、一応は場が和んだところで今回のイベントについて尋ねたところ
彼らが指差した中心人物はなんと会場の中心の円卓にいるフェランさんじゃないですか!
そう、この一連のアートイベントのプロデューサーであり一切を仕切ってるのがフェランさんだったのです!
昼間会った時とは違いビシッとしたスーツに鷹のような目。完全にビジネスモードになっている彼はこのオークションで得たお金を新しい美術館のために運用するのです。
今回のこのディナーの間に集まったお金はなんと3億円ということでした~
第48便「コロラドロードトリップ後編」_b0290617_22225027.jpg

のどかなマディソンの静かなスタジオが僕の世界ならば、
今回のアスペンでのフェランさんはじめコレクターの人々の世界はあまりにも眩しく華やかで、まるで対極にありました。
この事が僕のアートにとってどんな作用を及ぼすのかは分かりませんが、少なくとも制作側ではなくコレクター側の世界を見れたことはとても貴重な経験になったと思います。
by mag-ikeda | 2014-12-11 22:25