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池田学 マディソン滞在制作日記


by mag-ikeda

池田学 / IKEDA Manabu

画家。1973年佐賀県多久市生まれ。1998年東京藝術大学美術学部デザイン科卒業。
2000年同大学院修士課程を修了。 2011年から1年間、文化庁の芸術家海外研修制度でカナダのバンクーバーに滞在。
2013年6 月末より、アメリカ・ウィスコンシン州マディソンにて滞在制作を開始。

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【第123便】「銃」

またしても不幸な事件が起きてしまいました。

テキサス州の小学校での銃乱射事件。

アメリカでこの類のニュースを耳にするたび、恐怖と憤り、そして絶望感で全身が冷たくなります。

自分の子供を学校に送り校舎に消えていくまで見送る時、乱射事件がありませんように、どうか無事で帰ってきますようにと心の中で思わない日はありません。

そのくらい、我々には切迫した問題。

なぜ学校の見送りで我が子の命の心配を毎日しなければいけないんだろうか。絶対におかしい。


マディソンでも銃は時折り目にします。

アウトドア専門店に行けば釣具と並んで狩猟コーナーに置いてあるし、家でいらなくなったものを売りに出すヤードセールにも並んでいることあります。

いつだったか釣り仲間の家に呼ばれた時も、彼の部屋に釣り竿と一緒に飾ってあってギョッとしたのを覚えています。銃も弾薬も彼にとってはハンティングに使う道具に過ぎず、釣り竿のような感覚で置いているんでしょうが、僕からしたら頼むからどこか見えない場所に持っていってくれとお願いしたいくらいでした。


この事件があった夕方、たまたま隣に住むアメリカ人夫婦の家に夕食に呼ばれこの話題になったのですが、彼らがなぜアメリカから銃が無くならないのか、アメリカの歴史から政治的なことまで含めて、その問題や矛盾点について話してくれました。

彼らももちろん銃が要らない世の中を望んでいる人達で、マディソンにおいてはほとんどの人が彼ら同様、銃に反対の立場をとっていると僕は信じています。…というよりもそうであってくれと願っていますが、その彼らでさえ最終的には「自分も万が一の事態に備えて護身用に銃を持っている。ただし厳重に鍵を閉めて保管しているけどね。」と言うではありませんか。

さんざん銃の不要論について話し合ったこの人たちでさえ結局は持ってるんだ…という、まるで足元の波が一気に引いていくような感じがしました。


国土が広いアメリカでは田舎に行くほど家同士の距離が遠く、不審者が敷地に入ってきてから警察を呼んでも、到着するまでに1時間以上かかるから自分で家族の身を守るしか無い、というのは実際にそういうところに住んでいる友達もいるのでよく分かります。

しかしこれだけ科学技術が進歩した世の中で、銃を持たなければ護身ができないという理由は本当に通るんだろうか。軍事技術が最高に発達したこの国なら本腰を入れれば住宅のセキュリティ強化にその技術を応用することくらいそんなに難しいことでは無いはずだとも思います。


人によってはカバンに入れたり車に常備しているわけで、どこで誰が発砲しても全くおかしくない社会。道を歩いていて撃たれる可能性だって大いにあります。

ほとんどの人は釣り竿感覚なのかもしれないけれど、とにかくこれだけは本当にどうにかして欲しい。

アメリカに住むのが心底嫌になります。


(佐賀新聞2022年6月7日掲載)

【第123便】「銃」_b0290617_19384801.jpg


次回は7月中旬の更新予定です。


by mag-ikeda | 2022-06-15 19:41