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池田学 マディソン滞在制作日記


by mag-ikeda

池田学 / IKEDA Manabu

画家。1973年佐賀県多久市生まれ。1998年東京藝術大学美術学部デザイン科卒業。
2000年同大学院修士課程を修了。 2011年から1年間、文化庁の芸術家海外研修制度でカナダのバンクーバーに滞在。
2013年6 月末より、アメリカ・ウィスコンシン州マディソンにて滞在制作を開始。

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【第126便】「UGM 前編」

Epic最大のイベントのひとつ「UGM」が始まりました。UGMとは「ユーザーズグループミーティング」の略で、全米及び世界各国から3日間でおよそ1万人近い関係者が集まり、Epicが開発している電子カルテに関する発表や報告などを行う、大規模な学会のようなものです。

このイベントには毎回テーマがあり、今回は題して「ミッドナイトミュージアム」。

学会になぜこんなテーマが?と最初は訝しんでいましたが、その謎は後日衝撃的な光景と共に判明するのです。

さてそのUGMは僕にとっても作品を見てもらうビッグチャンス。数年前の見学者わずか3人という汚名を返上するために、今回はスタジオ前の看板を目立つデザインに変更し、僕の経歴やスタジオの紹介文なども同時にパネルにして展示、さらにスタジオ内のレイアウトも見やすいものに変え、少しでもスタジオに足を踏み入れてもらえるようにやれることは全てやりました。


そしてその初日。普段は広大な屋外駐車場に、それをすっぽりと覆う巨大なテントが建てられ、そこを中心に大型バスや関係者の車が長い列をなし、スタッフも総動員で誘導にあたっています。

普段は静かで人通りの少ないスタジオ前のロビーは参加者で大混雑。脇にはお土産屋も並び、豪華な掲示板には3日間の講演スケジュールがびっしりと書き込まれ、パンフレット片手に行き交う人々をすり抜けるのにも苦労するほど。

スタジオを開けるにあたり、まずは人の流れを把握するべくしばらくロビーに出て観察することにしました。各講演はだいたい1時間、20分の休憩の間に参加者は次の会場へ移動。賑やかな喧騒はその20分に集中していていますが、みんな次の会場への地図を調べたり打ち合わせをしながら忙しなく歩いていて、とてもスタジオに来るなんという余裕はありません。他にもパソコン片手に電話している人、急ぎ足でトイレに行く人、真剣な顔で調べ物をしている人…。

スタジオの看板に目をとめる人なんているはずもありません。

そしてそこで、そもそもここには僕の付け入る余地などなかったのだということが初めて分かったのです。


前回は外を見る余裕もなく、こんなに賑やかなのにどうして人が来ないんだろうと、スタジオの中でただただ落ち込んでいましたが、お門違いもいいところ、ディズニーランドで教材を売っているようなもので、そんなのいくら待っていても来るはずがなかったんです!

でもこれが分かったことで気が楽になったと同時に、妙な好奇心が湧いてきました。

数千人の参加者の中から誰も気づかないこの場所にわざわざ足を踏み入れる人はよほど好奇心旺盛か美術に興味がある人の可能性が高く、何か新しい繋がりができるかもしれない… この3日間でどんな人と巡り会えるか試してみよう…と。

そこでスタジオを午後から夕方まで開けっぱなしにしてその奇特な人たちを待ってみることにしたのです。

(佐賀新聞2022年9月6日号掲載)

【第126便】「UGM 前編」_b0290617_18451513.jpg


次回は10月中旬の更新を予定しています。




by mag-ikeda | 2022-09-15 18:47